結論
富士急行の業績は、インバウンド需要と富士山観光を追い風に、長期的には評価できる内容です。
ただし、現在の株価指標には成長期待がかなり織り込まれています。長期投資なら、いきなり大
きく買うよりも、株価が下がった場面で少しずつ買う方針が適しています。
私なら次のように判断します。
「業績は良好。ただし株価は割安とは言いにくい。投資信託を中心にしながら、富士急行
は少額の応援投資として保有する」
まず確認:「6年連続増益」ではなく「6年連続増収」
2026年8月5日に発表された2027年3月期第1四半期決算では、売上高に当たる営業収益が6期連
続で増加しました。
つまり正確には、
営業収益は6期連続増収
営業利益は0.5%増
純利益は0.2%増
という決算です。
売上は順調に伸びていますが、利益の伸びはかなり小さい点には注意が必要です。富士急行・2027年3月期第1四半期決算短信
評価できるポイント
1.富士山という強力な観光資産がある🗻
富士急行の最大の強みは、富士山・河口湖・山中湖周辺で事業基盤を築いていることです。
単なる鉄道会社ではなく、
鉄道・高速バス
富士急ハイランド
ホテル
キャンプ場
ロープウェイ
観光船
別荘地管理
を組み合わせています。
外国人観光客が富士山周辺を訪れれば、交通、宿泊、レジャー、飲食など、複数の事業で
収益を得られる構造です。
2.レジャー事業が大きく回復している🎢
第1四半期のレジャー・サービス事業は好調でした。
営業収益:前年同期比8.8%増
営業利益:同214.8%増
富士急ハイランドの売上:同16.0%増
ホテル事業の売上:同9.0%増
富士急ハイランドのイベントやホテルの改装効果などが表れています。
コロナ後の客数回復だけでなく、イベントや宿泊施設の魅力向上によって、利用者1人当たり
の消費額を増やせるかが今後の重要点です。
3.通期では最高益圏を維持する見通し
2026年3月期には、営業利益・経常利益・純利益が過去最高となりました。
2027年3月期の会社予想は次のとおりです。
「売上は伸びるが、利益はほぼ横ばい」という慎重な計画です。
大幅増益を期待する段階というより、高水準の利益を維持できるかを見る段階に入ったと
考えられます。富士急行・2026年3月期決算説明資料
注意したいポイント
1.売上ほど利益が伸びていない
第1四半期は売上が3.9%増えましたが、営業利益は0.5%増にとどまりました。
これは、人件費、修繕費、電気代、燃料費、減価償却費などの増加が影響していると考え
られます。
観光客が増えても、コストが同じように増えれば利益は伸びません。今後は売上高だけで
なく、営業利益率を確認する必要があります。
2.運輸部門は減益
運輸事業は第1四半期に、
営業収益:1.3%減
営業利益:29.4%減
となりました。
ロープウェイの更新工事による運休や天候不順が影響しています。鉄道の定期外輸送人員も
7.0%減少しました。
一時的な工事の影響はありますが、次の四半期で回復するかを確認したいところです。
3.設備投資の負担が大きい
富士急行は鉄道、バス、遊園地、ホテルなど、多額の設備投資が必要な会社です。
2027年3月期の設備投資計画は153億円で、前期の約91億円から大きく増える予定です。
観光施設の魅力向上には必要ですが、投資額が大きすぎると、
借入金の増加
金利負担の増加
減価償却費の増加
配当に回せる資金の減少
につながります。
4.株価に割高感がある
2026年8月5日終値の2,714円を基準にすると、おおむね次の水準です。
予想PER:約25倍
PBR:約3.4倍
予想配当利回り:約1.2%
業績が安定した観光企業として一定の評価はできますが、「非常に割安」とはいえません。
とくにPBR3倍台は、すでに富士山観光やインバウンド成長への期待が株価に織り込まれ
ていることを示します。
長期投資なら「投資信託+富士急行」が基本
富士急行株は投資信託ではなく個別株です。個別株には、会社固有の問題によって大きく
下落する危険があります。
そのため、長期投資では次の組み合わせが無理のない方針です。
例えば投資資金100万円なら、
投資信託:70万~80万円
個別株全体:10万~20万円
現金:10万円程度
という考え方があります。
富士急行だけで資産形成をするのではなく、広く分散した投資信託を中心に置く
ことが重要です。
買うなら一括ではなく分割
富士急行は良い事業を持っていますが、PER約25倍では買値が重要です。
長期保有を考えるなら、
最初は少額だけ購入する
決算ごとに利益率を確認する
株価が10~15%程度下落したら追加を検討する
一銘柄に資金を集中させない
という分割投資が向いています。
株主優待を実際に使える山梨県在住者にとっては、配当利回りだけでなく「優待を含めた
実質利回り」で考えられる点はプラスです。ただし、優待を使う予定がなければ、割高な
株価を正当化する理由にはなりません。
今後チェックしたい5項目
営業収益ではなく営業利益が伸びているか
レジャー事業の急回復が一時的ではないか
運輸事業が第2四半期以降に回復するか
153億円の設備投資が将来の利益につながるか
有利子負債と営業キャッシュフローのバランス
総合判断
富士急行の長期的な事業内容は魅力的です。富士山という世界的観光資源、鉄道・バス・
ホテル・遊園地を一体運営できる点は、他社が簡単にまねできない強みです。
一方、最新決算は「売上が順調に伸びた」という内容であり、利益が大きく伸びたわ
けではありません。しかも株価はすでに割安とはいいにくい水準です。
したがって長期投資の判断は、
事業は「買いたい」、現在の株価では「慎重に買いたい」
となります。
投資信託を長期資産形成の中心に置き、富士急行は優待も楽しめる少額の地元応援株と
して、株価下落時に分割購入するのが堅実でしょう。

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